先日、出版されたばかりの梨木香歩『雪と珊瑚と』を読んだので、
その続きで、1年前に読んだ梨木香歩『僕は、そして僕たちはどう生きるか』を再読。
本は一度買ったら手放せず、増殖する一方なので、
単行本で買うのは特定の気に入った作家のものばかりだ。
上記の二冊、内容はもちろん、装丁もいい。
『雪と珊瑚と』は名久井直子さんのデザイン。
色合いがやさしくて、
表紙に使っている紙が通常のハードカバーより若干薄めで、
ページ数多いけど、読んでて疲れないのがいいなと思った。
本の雰囲気とは合っているけど、
いつもの梨木作品と印象が違うと
直感的に思ったのは、
タイトルがゴシックだったからかも知れない。
『僕は、そして僕たちはどう生きるか』は鈴木成一デザイン室。
この本を1年前に手にして、家で読もうとして、
まずは装丁を眺めていたとき、不覚にも涙がこぼれたのを覚えている。
表紙や背や扉に置かれた文字のバランスが、
なんというか、絶妙だなと思って。
細めの明朝でくっきりと入ったタイトルが本当に美しいと思えたのだ。
その当時、私自身、体調を崩して仕事ができずにいて、
そういうことも影響してしているのかも知れないけれど。
こんな、人の心に食い込むような仕事、
してみたいなと強く感じたのは覚えている。
それはともかく、梨木さんの作品の登場人物たちは
とにかくいろいろなことを丁寧に考える。
日常、流してしまいがちな些細な感情、
ちょっとした違和感だったり、いらいらだったり、かなしみだったり、
それらを流してしまわずに、どうして自分がそういう風に感じたのか、
それは自分にとって何を意味しているのか、丁寧に丁寧に気持ちを辿っていく。
忙しい日常のなかで、そういうことをしていくのはなかなか難しい。
でも、そうやって丁寧に丁寧に自分の感情をケアすることは
実はとっても大切なことなんじゃないかと、実感として思う。
無意識に自分が感じて、無意識に行動していることって、
思いの外、自分の行動を縛っていたりするものだ。
「無意識」に行動を支配されないためにも、
自分の些細な感情を無視しないことはとても大事、とつくづく思う。
両方の作品に「プライド」という言葉が出てきた。
言い換えれば、自分にとって譲れないものということか。
それは時として、その人を支えるものになるのかもしれないし、
意固地にさせるものなのかも知れない。
そんな言葉がとりとめもなく、浮かんでは消え、浮かんでは消え。
だんだん何がいいたいのか不明瞭になってきつつ、
ゆらりゆらりと思いを巡らす読後感を楽しんでいる。